外国人経営者の税理士選び|英語対応・法人税・決算
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日本で会社をつくったあと、「税理士はいつ探せばよいのか」「英語で相談できれば十分なのか」と迷う外国人経営者は少なくありません。設立直後は売上づくりや銀行口座、在留手続に意識が向き、税務は決算前に考えればよいと思いがちです。
ただ、法人設立届出書、役員報酬、源泉所得税、消費税、インボイス、会計ソフトの初期設定など、会社を始めた時点で判断が必要になることがあります。後から修正できる項目もありますが、期限や適用時期がある制度もあります。
この記事では、外国人経営者が日本で税理士を選ぶときの基準、面談で聞くこと、紹介サービスの使い方を整理します。税理士へ依頼しない方が合う場面も含めて、現実的に比較します。
先に結論|言語より「会社の取引を理解できるか」で選ぶ
日本語以外で相談できることは大切です。しかし、英語対応だけで決めると、自社に必要な業務が契約に含まれていないことがあります。最初に、会社の業種、取引国、従業員数、売上規模、会計ソフト、必要な支援を書き出してください。
法人税、消費税、源泉所得税の申告・届出
月次の記帳確認や決算前の見込み説明
役員報酬、給与、年末調整に関する税務上の助言
海外送金、海外親会社・関連会社との取引の相談
クラウド会計の初期設定や記帳代行
必要な範囲が見えたら、2〜3名と面談し、説明の分かりやすさ、料金、返信方法を比べます。安さだけでも、資格や経歴の長さだけでも決まりません。会社と税理士の相性は、実際の資料を想定した質問をすると見えやすくなります。
会社設立後、税理士を早めに探す理由
法人設立届出書などに期限がある
国税庁の案内では、内国普通法人等を設立した場合、法人設立届出書は設立の日以後2か月以内に納税地の所轄税務署長へ提出します。青色申告の承認申請、給与支払事務所等の開設届出書など、状況に応じて別の手続もあります。電子申請を利用できる手続もあります。
届出書の作成自体は経営者が行うこともできます。それでも、どの制度を選ぶか、いつから適用されるかは会社ごとに違います。判断に迷う場合は、提出期限より前に専門家へ確認した方が整理しやすいでしょう。
役員報酬は後から自由に変えにくい
役員報酬は、会社の資金繰り、経営者本人の所得税・社会保険、法人税の計算に関係します。会社設立時に何となく金額を決め、売上が増えたら毎月変更する、という扱いでは税務上の損金にできない部分が生じる可能性があります。設立初年度ほど、売上見込みと生活費を並べて検討します。
決算直前では選べる対応が少なくなる
法人税の申告・納付期限は、原則として事業年度終了の日の翌日から2か月以内です。帳簿や領収書が整理されていない状態で決算期を迎えると、確認に時間がかかります。税額を見込む時間も短くなります。まだ取引が少ない会社でも、申告が不要になるとは限りません。
税理士へ依頼できること、別の専門家へ相談すること
税理士は、税務代理、税務書類の作成、税務相談を行う専門家です。記帳代行、給与計算、経営資料の作成などは、事務所によって対応範囲が異なります。契約前に、月額顧問料と決算料の中身を確認してください。
一方、在留資格の申請、許認可、会社設立に伴う行政手続は行政書士、登記は司法書士、社会保険・労働保険は社会保険労務士、法律紛争は弁護士が扱う領域です。複数の課題がある場合は、他士業と連携できるかを聞くと窓口を整理しやすくなります。
外国人経営者が確認したい7つの選び方
1.対応言語の「範囲」を聞く
「英語対応」と表示されていても、初回面談だけ英語、メールのみ英語、担当者によって対応が違う場合があります。契約書、月次報告、決算説明、税務調査まで、どの場面で希望言語を使えるか確認します。専門用語を経営者向けに言い換えてくれるかも重要です。
2.法人税・消費税・源泉所得税をまとめて相談できるか
法人税だけでなく、従業員や役員へ給与を支払うと源泉所得税が関係します。源泉所得税は原則として徴収した月の翌月10日が納付期限です。給与の支給人員が常時10人未満なら、申請により年2回の納付にできる特例もあります。
消費税も、売上規模だけで単純に決まりません。インボイス発行事業者の登録を受けると、基準期間の売上高にかかわらず消費税の申告が必要になる場合があります。取引先から登録を求められたときは、メリットだけでなく事務負担も相談します。
3.海外取引の経験が必要かを見極める
海外親会社との取引、国外への業務委託料、輸出入、非居住者への支払いがある会社は、国際税務の経験を確認します。ただし、国内取引だけの小規模会社が、高度な国際税務の体制を持つ事務所へ依頼する必要があるとは限りません。将来ではなく、現在と1〜2年先の取引を基準にします。
4.会計ソフトと資料の渡し方が合うか
クラウド会計へ直接入力するのか、領収書をアップロードするのか、税理士へ記帳を任せるのか。ここが合わないと毎月の負担が増えます。使用中の銀行・カードとの連携、外国語の請求書、海外通貨の明細をどう扱うかまで聞いておきます。
法人向けの候補として、マネーフォワード クラウド会計があります。公式案内では、税理士を招待して会計状況をオンラインで共有できます。契約候補の税理士が対応しているか、誰が入力・確認するかを先に相談してください。
税理士が別のソフトを指定している場合や、記帳をすべて任せる契約で追加のアカウントが不要な場合は、新たに契約する必要がないこともあります。ソフトの利用だけで英語対応や国際税務の判断が提供されるわけではありません。海外通貨の明細の扱いも個別に確認します。
料金・条件・サービス内容は変更される可能性があるため、申込み前に公式サイトで最新情報をご確認ください。
5.担当者と連絡方法を確認する
代表税理士と面談して契約しても、日常の連絡は別の担当者になることがあります。誰が資料を確認し、税務判断は誰が行うのか。メール、チャット、オンライン面談の可否、通常の返信目安、緊急時の連絡方法を確認します。返信の速さだけでなく、質問に対して理由を説明してくれるかを見ます。
6.料金の内訳を同じ条件で比較する
月額顧問料が低く見えても、決算申告、消費税申告、年末調整、法定調書、償却資産申告、記帳代行が別料金の場合があります。面談回数、仕訳数、従業員数、売上規模で料金が変わることもあります。年間総額の見積もりを取り、追加料金が発生する条件を並べて比較してください。
7.登録情報と契約範囲を確認する
日本税理士会連合会の税理士情報検索サイトでは、税理士・税理士法人の登録情報を検索できます。紹介を受けた場合も、事務所名、担当税理士、契約相手を確認します。税務相談や申告を誰が担当するかを曖昧にしないことが大切です。
依頼方法を3つに分けて比較
方法 | 向く場面 | 注意点 |
自分で探して直接相談 | 地域、専門分野、希望事務所が明確 | 比較条件を自分でそろえる必要がある |
税理士紹介サービス | 条件を伝えて複数候補を探したい | 登録事務所の中からの紹介になる |
自社で申告・記帳 | 取引が単純で、社内に税務・会計の知識がある | 期限管理と判断を自社で行う |
料金、紹介条件、対応業務、法令や制度は変更される可能性があります。契約や申込みの前に、税理士・各サービス・公的機関の最新情報をご確認ください。
税理士紹介ネットワークの特徴
税理士紹介ネットワーク(Tax Concierge)は、希望条件を専任コンシェルジュへ伝え、税理士の紹介を受けるサービスです。公式サイトでは、紹介料は無料で、面談日程の調整、料金交渉、断る場合の連絡も支援すると案内されています。
自分で何十件も検索する時間がない人や、料金・対応分野の比較条件を整理したい人には使いやすい選択肢です。ただし、税理士との顧問契約や税務サービスまで無料になるわけではありません。紹介後の契約内容と費用は、税理士へ直接確認します。
紹介サービスが合わない場面
依頼したい税理士がすでに決まっている
特殊な国際税務や特定国の制度に詳しい税理士だけを探している
顧問契約ではなく、単発の短い質問だけをしたい
紹介担当者を介さず、自分で地域の税理士を一件ずつ比較したい
税務申告も記帳も社内で対応でき、外部支援が必要ない
紹介サービスを使っても、相性や専門性が自動的に決まるわけではありません。候補が提示されたら、最終的には経営者自身が面談し、担当者、業務範囲、年間費用を確かめます。
初回面談で聞く10の質問
当社と近い業種・規模の法人を担当した経験はありますか
どの言語で、どの業務まで対応できますか
法人税、消費税、源泉所得税のどこまで契約に含まれますか
記帳は当社と事務所のどちらが担当しますか
使用できる会計ソフトと資料提出方法は何ですか
海外送金や国外事業者との取引を相談できますか
日常の担当者と税務判断を行う税理士は誰ですか
面談頻度と通常の返信目安はどの程度ですか
月額、決算、オプションを含む年間費用はいくらですか
契約期間、解約条件、データ返却方法はどうなっていますか
質問への答えだけでなく、分からないことを分からないと言えるか、追加確認の期限を伝えてくれるかも見ます。複雑な制度を短く断言する説明より、前提条件を確認する姿勢の方が安心できる場合があります。
契約前に用意する資料
履歴事項全部証明書、定款、会社設立日と決算月
事業内容、主な顧客・仕入先、国内外の取引の流れ
売上見込み、従業員数、役員報酬の案
銀行口座、カード、会計ソフトの利用状況
提出済みの税務届出書と届出予定
インボイス登録の有無、給与支払いの有無
資料が全部そろっていなくても面談はできます。足りないものを隠さず、いつから取引が始まったか、記帳がどこまで終わっているかを伝えます。期限が迫っているときは、最初にその日付を共有してください。
在留資格・許認可との関係
会社の決算や納税状況は、在留資格「経営・管理」の更新などで説明資料の一部になることがあります。ただし、税理士へ依頼すれば在留資格の許可につながる、と断定することはできません。税務上の処理と入管手続は目的も審査も異なります。
ミツノブ行政書士事務所では、外国人経営者の在留資格、会社設立後の行政手続、許認可について相談を受けています。税務は税理士、在留・許認可は行政書士と役割を分け、必要に応じて連携先を確認してください。
よくある質問
Q.会社をつくったら税理士との顧問契約が必要ですか?
A.顧問契約が一律に義務になるわけではありません。経営者が自社で記帳・申告することも可能です。ただ、取引が複雑、海外取引がある、従業員を雇う、期限管理に不安がある場合は、早めの相談を検討してください。
Q.英語対応の税理士なら国際税務も任せられますか?
A.言語対応と国際税務の経験は別です。海外親会社との取引、国外源泉所得、移転価格など、自社に関係する論点の経験を具体的に確認します。
Q.決算だけ単発で依頼できますか?
A.対応する事務所はあります。ただし、帳簿の状態、取引量、期限までの日数によって引受け可否や料金が変わります。決算直前では対応できる事務所が限られるため、早めに資料の状態を伝えてください。
Q.紹介サービスを使うと顧問料が高くなりますか?
A.税理士紹介ネットワークは利用者の紹介料を無料と案内していますが、顧問料や決算料は紹介先との契約によります。年間総額と追加料金の条件を見積書で確認してください。
Q.税理士を途中で変更できますか?
A.契約条件に従って変更できます。申告直前の変更は引継ぎが難しくなることがあります。総勘定元帳、申告書控え、届出書、会計データなど、返却・移行する資料を先に確認します。
参考情報
まとめ
外国人経営者が税理士を選ぶときは、英語対応の表示だけではなく、自社の業種、税目、海外取引、会計ソフト、連絡方法まで確認します。まず必要な業務を箇条書きにし、同じ条件で年間費用を比較してください。
取引が単純で社内に知識があれば、自社で記帳・申告する方法もあります。反対に、設立直後の届出や役員報酬、インボイス、海外取引に迷いがあるなら、決算を待たずに相談する方が選択肢を整理しやすいでしょう。紹介サービスは探す手間を減らす一つの方法ですが、最後は面談と契約書で判断します。
執筆・監修
ミツノブ行政書士事務所
行政書士・宅地建物取引士 松田充正
本記事は一般的な情報提供を目的としています。メールの到達、開封、売上、在留資格の許可等を保証するものではありません。料金・機能・条件・法令・各社ガイドラインは変更される可能性があるため、申込みや配信前に最新情報をご確認ください。



