外国人社員の入社手続き|社会保険・給与・勤怠管理|Onboarding Japan
更新日:7 日前
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外国人社員の入社手続きは、日本人社員と共通する社会保険・雇用保険・税務の対応に、在留カードや就労資格の確認、外国人雇用状況の届出が加わります。
書類を集めるだけなら、それほど複雑に見えないかもしれません。ところが、在留資格で認められた活動と実際の担当業務が合っていなければ、入社後の更新手続きや会社側の雇用管理に影響することがあります。採用担当者だけで判断せず、採用前と入社後で確認事項を分けて進めることが大切です。
この記事では、初めて外国人社員を雇用する会社を想定し、採用決定から給与・勤怠管理までの流れを実務順に整理します。英語では Onboarding Japan と検索されるテーマですが、日本での入社対応は在留資格と労務手続きの両面から確認する必要があります。
外国人社員の入社手続き|Onboarding Japanの全体像
最初に全体像を押さえておきましょう。
採用前は、主に次の事項を確認します。
在留カードの有効性と在留期限
在留資格と予定する仕事内容の適合性
就労制限の有無、資格外活動許可の範囲
雇用契約、労働条件通知書の内容
在留資格変更許可申請や就労資格証明書の検討
入社後は、次の手続きを期限内に進めます。
雇用保険の資格取得
外国人雇用状況の届出
健康保険、厚生年金保険の資格取得
給与、源泉徴収、住民税の登録
勤怠管理と在留期限管理の開始
外国人雇用の手続きは、人事、総務、給与担当、現場責任者に分散しがちです。誰が何を確認したか分からなくならないよう、社員ごとのチェックリストを作成しておくと管理しやすくなります。
採用前に確認したい在留カードと就労資格
在留カードは表面だけで判断しない
在留カードでは、氏名、生年月日、国籍・地域、在留資格、在留期間、就労制限の有無などを確認します。裏面に資格外活動許可や住居地変更などが記載される場合もあるため、表裏の確認が必要です。
厚生労働省は、外国人雇用状況の届出に当たり、在留カードまたは旅券等の提示を求めて届出事項を確認するよう案内しています。無料の在留カード等読取アプリケーションも案内されています。
ただし、在留カードの写しを保管すれば確認が終わるわけではありません。採用予定の職務内容が在留資格で認められる活動に当たるかを、雇用契約書や職務記述書と照らして確認します。
在留資格と仕事内容が合っているかを確認する
たとえば「技術・人文知識・国際業務」は、自然科学・人文科学の知識を必要とする業務や、外国の文化に基盤を有する思考・感受性を必要とする業務などを対象とします。単純に外国人だから、語学ができるからという理由だけで、すべての業務に従事できるわけではありません。
「留学」や「家族滞在」の人をアルバイトとして採用する場合は、資格外活動許可の有無と許可された時間・活動範囲を確認します。卒業後にフルタイムで採用するなら、就労可能な在留資格への変更が必要になるケースがあります。
「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」など、身分に基づく在留資格は活動範囲の制限がありません。一方で、在留期限がある資格については期限管理が必要です。
判断に迷うときは、内定後ではなく、職務内容を設計する段階で専門家へ確認した方が手戻りを抑えやすくなります。
転職者は前職と今回の業務内容を比較する
同じ在留資格のまま転職する場合でも、前職と新しい職場で仕事内容が大きく変わると、現在の在留資格で働けるかの判断が難しくなることがあります。状況に応じて就労資格証明書の交付申請を検討する方法もあります。
また、就労資格によっては、本人が新しい会社に入社した日などから14日以内に「所属機関に関する届出」を行います。会社側の外国人雇用状況の届出とは別の制度なので、混同しないよう説明しておきましょう。
雇用契約書と労働条件通知書を分かりやすくする
外国人社員にも、労働基準法をはじめとする日本の労働関係法令が適用されます。国籍を理由に賃金や労働時間などで差別的な扱いをすることは認められていません。
労働条件通知書には、契約期間、就業場所、業務内容、始業・終業時刻、休日、賃金、退職に関する事項などを記載します。日本語だけの書類に署名をもらうことをゴールにせず、本人が理解できる言語や、やさしい日本語で説明することも重要です。
厚生労働省は外国人労働者向けのモデル労働条件通知書を複数言語で公開しています。自社の雇用契約書と併用し、認識違いが起きやすい残業、固定残業代、試用期間、賞与、退職手続きなどを具体的に説明するとよいでしょう。
なお、雇用契約書に書かれた職務内容は、在留資格の申請・更新でも重要な資料になることがあります。「会社の業務全般」のような曖昧な表現だけで終わらせず、主な職務を実態に合わせて記載します。
雇用契約書の作成・保管を含む契約書業務を見直す場合は、KANBEI SIGNも比較候補です。自社の運用に合う機能や料金、外国人社員への説明方法を確認してから導入を検討しましょう。
入社後に会社が行う届出
雇用保険と外国人雇用状況の届出
雇用保険の被保険者となる外国人を雇い入れた場合、会社が雇用保険被保険者資格取得届を提出すると、外国人雇用状況の届出も行ったことになります。厚生労働省によると、雇入れ時の提出期限は被保険者となった日の属する月の翌月10日までです。
雇用保険の被保険者とならない外国人については、外国人雇用状況届出書を提出します。雇入れ・離職とも、原則として翌月末日までです。特別永住者や在留資格「外交」「公用」など、制度の対象外となる人もいます。
届出期限は制度改正で変わる可能性があります。提出前に厚生労働省またはハローワークの最新案内を確認してください。
健康保険と厚生年金保険
日本年金機構は、適用事業所に常時使用される人は、国籍、性別、賃金額などに関係なく、原則として健康保険・厚生年金保険の被保険者になると案内しています。加入要件を満たす外国人社員について、会社が被保険者資格取得届を提出します。
海外から入国したばかりの人は、基礎年金番号が分からないことがあります。氏名表記の揺れも起きやすいため、在留カード、住民票、マイナンバー関係書類などの表記を早めに照合しましょう。
社会保障協定の対象国から来日した人や、短期間の海外派遣などでは、二重加入防止の扱いを確認する場合があります。個別事情があるときは年金事務所や専門家へ確認してください。
給与計算、源泉徴収、住民税
給与計算では、基本給、手当、残業代、欠勤控除、社会保険料、雇用保険料、所得税、住民税などを設定します。外国人社員だから特別な計算方法になるわけではありませんが、税法上の居住者・非居住者の判定や、国外居住親族に関する扶養控除の書類確認など、追加の確認が必要になることがあります。
国税庁は、国内に住所または1年以上居所を有する居住者である外国人従業員も含め、給与所得の源泉徴収票を交付するよう案内しています。年末調整や源泉徴収票の時期になって慌てないよう、入社時に扶養控除等申告書、住所、マイナンバー、扶養親族に関する情報を整理します。
給与・勤怠管理ソフトを選ぶ5つのポイント
外国人社員が1人増えただけなら、既存の給与計算ソフトや表計算で対応できる会社もあります。とはいえ、勤務形態が複数ある、担当者が少ない、入退社が増えている会社では、給与と勤怠のデータ連携を見直すきっかけになります。
選ぶときは、次の5点を確認しましょう。
従業員数と料金体系が合うか
月給、時給、シフト、変形労働時間制など自社の勤務形態に対応するか
勤怠、給与、年末調整、社会保険手続きをどこまで連携できるか
外国語表示または本人が理解しやすい画面・明細を用意できるか
法改正時の更新、問い合わせ窓口、データ出力に対応するか
サービスの料金、無料体験、対応機能、キャンペーンなどの条件は変更される可能性があります。契約前に公式サイトで最新情報を確認してください。
弥生給与 Nextが向いている会社、向いていない会社
弥生給与 Nextは、給与計算や年末調整をクラウドで進めたい中小企業にとって検討しやすい選択肢です。これから紙や表計算中心の管理を見直したい会社、担当者間でデータを共有したい会社と相性があります。
一方、複雑なシフト管理、多言語の従業員ポータル、高度な人事評価、在留期限の自動管理まで一つのサービスで完結させたい会社には、別の勤怠・人事労務システムを組み合わせる方が合う場合があります。機能名だけで決めず、自社の給与締日から逆算した運用テストを行いましょう。
入社初月の実務スケジュール例
入社前
在留カード表裏、在留期限、就労制限、職務内容、労働条件を確認します。変更許可が必要な場合は、就労開始のタイミングも含めて余裕を持って準備します。
入社日
本人確認書類、マイナンバー、基礎年金番号、雇用保険被保険者番号、給与振込口座などを受領し、就業規則、勤怠打刻、給与明細の確認方法を説明します。個人情報は収集目的と保管権限を決め、必要以上に共有しない運用が重要です。
入社後数日
健康保険・厚生年金保険の資格取得、給与・勤怠システムへの登録を進めます。在留カード上の氏名が長い場合やミドルネームがある場合は、各システムの文字数制限も確認します。
翌月まで
雇用保険と外国人雇用状況の届出を期限内に完了し、初回給与の計算結果を確認します。本人が行う所属機関の届出が必要なケースでは、期限と提出方法を案内します。
よくあるミスと予防策
よくあるのは、在留期限だけ確認して仕事内容を確認していない、外国人雇用状況の届出を別途重複提出する、氏名表記が手続きごとに異なる、在留期限の更新予定を人事が把握していない、といったミスです。
防ぐには、採用稟議の段階で在留資格チェック欄を設け、入社手続きの責任者を決めます。在留期限の3~6か月前に通知が出るよう、人事台帳やカレンダーへ登録するのも有効です。ただし、システムの通知は更新許可を保証するものではありません。社員本人と会社の双方で確認します。
在留資格の変更・更新は行政書士へ相談できます
採用予定の仕事内容が現在の在留資格に合うか分からない、留学生を卒業後に正社員として採用したい、転職者の更新時期が近いといった場合は、早めの確認が必要です。
ミツノブ行政書士事務所では、外国人社員の在留資格変更許可申請、在留期間更新許可申請、雇用理由書などの準備についてご相談を承ります。会社の事業内容と本人の経歴、実際の職務内容を確認した上で対応します。採用日が決まっている場合も、まずは気軽にお問い合わせください。
外国人社員の入社手続きに関するQ&A
Q.在留カードのコピーを取れば就労資格の確認は終わりですか?
A.いいえ。カードの有効性、表裏の記載、就労制限に加え、予定する仕事内容が在留資格で認められる活動に合うかを確認します。
Q.外国人社員にも社会保険を適用しますか?
A.国籍だけを理由に除外することはできません。適用事業所で加入要件を満たす場合は、原則として健康保険・厚生年金保険の対象です。
Q.外国人雇用状況の届出は雇用保険と別に提出しますか?
A.雇用保険の被保険者となる人は、雇用保険被保険者資格取得届に必要事項を記載して提出することで、外国人雇用状況の届出も行ったことになります。被保険者とならない人は別の届出書を使います。
Q.外国語の雇用契約書は法律上必須ですか?
A.一律に外国語版が必須という扱いではありませんが、労働条件を本人が理解できる方法で説明することが重要です。厚生労働省の多言語モデルも活用できます。
Q.転職なら在留資格変更は不要ですか?
A.同じ在留資格でも、新しい仕事内容が許可された活動に当たるか確認が必要です。職務内容や在留資格によっては変更許可申請が必要になるため、個別に判断します。
参考情報
執筆・監修
ミツノブ行政書士事務所
行政書士・宅地建物取引士 松田充正
本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の在留資格・雇用手続きの結果を保証するものではありません。



