外国人雇用の手続き|在留カード・就労ビザ・届出
更新日:10月1日
外国人を初めて雇用する事業主にとって、採用選考と在留資格の確認は同時に進める必要があります。能力や経験が募集職種に合っていても、現在の在留資格で予定する仕事を行えなければ、そのまま就労を開始することはできません。
この記事では、外国人雇用の手続きを事業主向けに整理し、在留カードの確認、就労ビザの申請、雇用契約、ハローワークへの届出、採用後の在留期限管理まで順番に解説します。

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外国人雇用の手続きは採用決定前から始まる
外国人採用で最初に確認するのは、国籍ではなく「予定する仕事内容」と「本人の在留資格」です。在留資格は会社名や雇用形態だけで決まるものではなく、本人が実際に行う活動の内容が審査の中心になります。
求人票の段階で仕事内容を具体化し、採用後に担当させる主な業務、必要な専門知識、勤務地、雇用期間、報酬を整理しておきましょう。「会社に必要な業務を幅広く担当」など曖昧な説明だけでは、在留資格との適合性を判断しにくくなります。
採用前に確認する7つの項目
1.在留カードの原本
本人から在留カードの原本を提示してもらい、氏名、在留資格、在留期間の満了日、就労制限の有無、資格外活動許可欄を確認します。コピーや画像だけで判断せず、原本の券面とICチップ情報の確認も検討してください。
出入国在留管理庁の在留カード等番号失効情報照会や、在留カード等読取アプリケーションも確認手段の一つです。ただし、照会結果だけでカードの真正性や就労可否のすべてが証明されるわけではありません。
2.在留資格と予定業務の一致
「技術・人文知識・国際業務」「技能」「介護」「特定技能」などの就労資格は、それぞれ認められる活動範囲が異なります。同じ会社であっても、担当業務が変われば現在の在留資格で就労できない場合があります。
一方、「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」は、原則として就労活動の種類に制限がありません。ただし、労働法令や業法上の資格・許認可は別途確認が必要です。
3.在留期限と申請スケジュール
在留期限が近い場合は、採用手続きと在留期間更新の時期が重なることがあります。入社予定日から逆算し、在留資格変更、在留期間更新、在留資格認定証明書交付申請のどれが必要かを早めに判断します。
4.学歴・職歴と募集職種の関連性
就労資格によっては、専攻内容、実務経験、資格と予定業務との関連が審査されます。卒業証明書、成績証明書、在職証明書、資格証明書などを確認し、外国語資料には日本語訳を準備します。
5.労働条件
業務内容、雇用期間、就業場所、勤務時間、休日、賃金、試用期間、退職に関する事項を労働条件通知書や雇用契約書に明記します。外国人であることを理由に、同等の業務を行う日本人より不当に低い報酬を設定することは避けなければなりません。
雇用契約の締結・保管方法を見直す企業には、電子契約サービスのKANBEI SIGNも比較候補です。日本国内に本店があり、日本語で相談できる事業者向けの案内として、対応する契約書、料金、本人が内容を理解して閲覧・保存できる方法を導入前に確認してください。
契約件数が少なく、紙での説明・保管が無理なくできる職場では、費用が見合わない場合もあります。電子契約サービスは、在留資格の判断、就労ビザ申請、ハローワークへの届出を代行するものではありません。補助金の利用可否も個別確認が必要です。
料金・条件・サービス内容は変更される可能性があるため、申込み前に公式サイトで最新情報をご確認ください。
6.日本語での理解を支える方法
雇用契約、社内規程、安全衛生、給与控除、相談窓口など、重要事項を本人が理解できる方法で説明します。必要に応じて、母国語資料、やさしい日本語、通訳を用意しましょう。
7.家族帯同や生活立上げの支援範囲
海外から採用する場合は、住居、銀行口座、携帯電話、住民登録、家族の在留資格など、入国後の生活立上げが必要です。会社が支援する範囲と本人が行う手続きを事前に分けておくと、入社後の混乱を減らせます。
採用する外国人ごとに必要な在留手続き
海外在住者を採用する場合
一般的には、日本側で在留資格認定証明書交付申請を行い、交付後に本人が在外公館で査証を申請します。会社は雇用条件や事業内容を示す資料を準備し、本人の学歴・職歴資料と予定業務の関係を説明します。
申請中であることだけでは就労を開始できません。入国し、就労可能な在留資格を取得してから勤務を開始するスケジュールにします。
留学生を新卒採用する場合
「留学」から就労可能な在留資格への変更許可が必要です。内定後は、卒業見込証明書、成績証明書、雇用契約書、会社資料などを早めに準備します。卒業しただけではフルタイム就労を開始できないため、許可時期と入社日を管理してください。
日本国内で転職する外国人を採用する場合
同じ在留資格を持っていても、前職と新しい職場の業務内容が異なれば、在留資格変更が必要になる場合があります。変更が不要と思われる場合でも、新しい仕事内容が現在の在留資格に該当するか不明確なら、就労資格証明書の利用を検討できます。
留学生・家族滞在のアルバイトを雇う場合
在留カード裏面などで資格外活動許可の有無と範囲を確認します。原則週28時間以内などの上限は、勤務先が複数ある場合には合算して管理する必要があります。風俗営業等に関係する就労は認められません。
会社側で準備する主な書類
雇用契約書または労働条件通知書
会社案内、登記事項証明書、事業内容を説明する資料
直近の決算書類や法定調書合計表など
採用理由書、職務内容説明書、組織図
勤務地、給与、勤務時間が分かる資料
本人の業務を指導・管理する体制が分かる資料
必要書類は在留資格、会社の区分、採用経路、本人の経歴によって異なります。新設会社、赤字決算、採用する職種と事業内容の関係が分かりにくい場合などは、事業の実態や採用の必要性を補足する資料が重要になります。
入社時に事業主が行う届出
外国人雇用状況の届出
外国人を雇い入れた事業主は、原則として氏名、在留資格、在留期間などを確認し、ハローワークへ外国人雇用状況を届け出ます。在留資格「外交」「公用」の方と特別永住者は対象外です。
雇用保険の被保険者となる場合は、資格取得届に必要事項を記載し、雇入れ日の属する月の翌月10日までに提出します。被保険者とならない場合は、所定の届出書を雇入れ日の属する月の翌月末日までに提出します。離職時にも届出が必要です。
社会保険・労働保険
健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険の適用は、国籍ではなく事業所と労働条件に基づいて判断します。外国人従業員についても、加入要件を満たす場合は必要な手続きを行います。
本人が行う所属機関に関する届出
在留資格によっては、新しい会社との契約開始や前の会社との契約終了について、外国人本人が出入国在留管理庁へ届け出る必要があります。会社側のハローワーク届出とは別の制度であるため、対象者には期限と方法を案内しましょう。
採用後に会社が管理すべきこと
在留期間の満了日と更新申請の予定
担当業務・勤務地・雇用条件の変更
在留カード更新後の情報
資格外活動許可の範囲と労働時間
社会保険・労働保険の加入状況
安全衛生教育と相談窓口
退職・転職時の届出案内
在留期限だけを管理していても十分ではありません。配置転換や職務変更により、許可された活動との関係が変わる場合があります。人事異動を決定する前に、在留資格との適合性を確認できる社内フローを設けると安心です。
外国人雇用でよくある失敗
「在留カードがあるから働ける」と判断する
在留カードを持っていても、すべての仕事ができるとは限りません。在留資格、就労制限欄、資格外活動許可、指定書、予定業務を組み合わせて確認します。
許可前に勤務を開始させる
在留資格変更を申請しただけでは、新しい資格に基づく就労を開始できません。現在の在留資格で認められない業務は、変更許可後に開始します。
申請書と実際の業務が一致していない
申請では通訳・海外営業と説明しながら、実際には別の単純作業が中心となっているなど、書類と勤務実態が異なる状態は避けなければなりません。求人票、雇用契約書、申請書、配属後の業務を一貫させます。
届出を在留申請と混同する
ハローワークへの外国人雇用状況の届出、入管への在留申請、本人の所属機関に関する届出は、それぞれ目的と提出先が異なります。一つの手続きを行えばすべて完了するわけではありません。
行政書士が外国人採用・在留手続きを支援します
ミツノブ行政書士事務所では、外国人を採用する企業・個人事業主の方から、在留資格と職務内容の確認、在留資格認定証明書交付申請、在留資格変更、在留期間更新、就労資格証明書などのご相談を承ります。
「内定を出す前に就労できるか確認したい」「留学生を新卒採用したい」「海外から人材を呼び寄せたい」「転職者の仕事内容が現在の在留資格に合うか不安」といった段階でも構いません。採用スケジュールと必要書類を整理し、企業側と外国人本人の手続きを一貫して支援します。
仕事を探している外国人本人は、外国人が日本で仕事を探す方法も参考にしてください。
よくある質問
Q1.外国人を正社員で採用すれば就労ビザを取得できますか?
A1.正社員であることだけで許可されるわけではありません。仕事内容、本人の学歴・職歴、報酬、会社の事業内容や安定性などを総合的に確認します。
Q2.在留カードのコピーだけで採用判断をしてもよいですか?
A2.原本を提示してもらい、券面、在留期限、就労制限、資格外活動許可を確認してください。必要に応じて公的な照会サービスや読取アプリも活用します。
Q3.転職者なら在留資格変更は不要ですか?
A3.転職後の業務が現在の在留資格の範囲内なら変更不要の場合がありますが、職種や活動内容が変わる場合は変更が必要になる可能性があります。就労資格証明書で確認する方法もあります。
Q4.外国人雇用状況の届出はアルバイトも対象ですか?
A4.雇用形態だけで対象外にはなりません。在留資格「外交」「公用」の方と特別永住者を除き、雇入れ・離職時の届出が原則必要です。
Q5.在留資格申請中に働いてもらえますか?
A5.申請中であることだけで新しい業務を開始できるわけではありません。現在の在留資格で就労可能な範囲と、変更許可後に開始すべき業務を分けて判断します。
Q6.会社が在留期間更新の期限を管理する必要はありますか?
A6.申請義務は原則として本人側にありますが、就労継続と不法就労防止のため、会社でも満了日を把握し、余裕をもって本人へ確認する運用が重要です。
参考情報
まとめ
外国人雇用の手続きでは、採用前に在留カードと予定業務を確認し、本人の状況に応じて在留資格認定証明書、在留資格変更、在留期間更新、就労資格証明書などを検討します。
入社後も、ハローワークへの届出、社会保険・労働保険、在留期限、配置転換を継続的に管理することが重要です。採用決定後に手続きを考えるのではなく、求人票と職務内容を作る段階から在留資格との整合性を確認しましょう。
執筆・監修
ミツノブ行政書士事務所
行政書士・宅地建物取引士 松田充正
本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の在留資格、許可結果、雇用・労務上の判断を保証するものではありません。



