外国人雇用の手続き|企業が行う在留資格確認・届出・不法就労防止
更新日:10月2日
外国人を採用するときは、経験や日本語力だけでなく、「予定している仕事を現在の在留資格で行えるか」を採用前に確認する必要があります。
在留カードを持っているだけで、すべての仕事に就けるわけではありません。確認が不十分なまま働かせると、本人だけでなく雇用した企業側にも責任が及ぶ可能性があります。
この記事では、外国人を初めて雇用する事業主・人事担当者に向けて、採用前の確認事項、雇入れ後の届出、在留資格変更が必要になるケースを順番に解説します。

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1.外国人を採用する前に確認する3つのこと
在留カードの有効性を確認する
まず、在留カードの原本で氏名、在留資格、在留期間の満了日、就労制限の有無を確認します。コピーだけで判断せず、本人確認とあわせて原本を確認することが重要です。
在留カード番号が失効していないかは、出入国在留管理庁の「在留カード等番号失効情報照会」で確認できます。ただし、番号が有効でもカードそのものが真正であるとは限らないため、券面の確認や公式の読取アプリも併用します。
在留資格と仕事内容が合っているか確認する
就労系の在留資格は、認められる活動の範囲が決まっています。例えば「技術・人文知識・国際業務」で採用する場合、専門知識を必要とする業務や国際業務との関連性が必要です。
同じ会社で働く場合でも、通訳・IT・企画業務から単純作業中心の仕事へ変更すると、現在の在留資格では認められない可能性があります。職種名だけでなく、実際の業務内容と業務量まで確認してください。
資格外活動許可の有無を確認する
「留学」や「家族滞在」は、原則として就労を目的とする在留資格ではありません。アルバイトとして雇用する場合は、在留カード裏面などで資格外活動許可を確認します。
許可を受けていても、働ける時間や業種には制限があります。シフトを組む際は、他社での勤務時間も含めて上限を超えないよう確認が必要です。
2.外国人を雇用するときの基本的な流れ
1.担当してもらう業務を具体化する
求人を出す前に、職務内容、勤務地、雇用期間、報酬、必要な専門性を整理します。入社後に担当させる予定の業務も含め、在留資格との対応関係を確認しやすい状態にしておきましょう。
2.在留カードとパスポートを確認する
面接や内定の段階で、在留資格、在留期間、就労制限、資格外活動許可を確認します。採用担当者だけで判断が難しい場合は、内定や入社日を確定する前に専門家へ相談する方が安全です。
3.雇用契約書・労働条件通知書を作成する
賃金、労働時間、休日、勤務地、業務内容、契約期間などを明示します。日本人従業員と同様に労働関係法令が適用されるため、外国人であることを理由に不合理な待遇差を設けることはできません。
本人が内容を正しく理解できるよう、やさしい日本語や母国語の補足資料を用意することも有効です。
雇用契約書の作成・保管を電子化する場合
契約書の件数が増え、紙の書類を探す負担がある企業では、電子契約サービスも検討候補になります。KANBEI SIGNは契約書業務をクラウド上で扱うサービスです。ただし、在留資格の判断や外国人雇用状況の届出を代わりに行うものではありません。
本人が紙での交付を希望する場合や、電子操作に不慣れな場合には、電子化だけで進める方法は合わないことがあります。労働条件を電子メール等で明示する際は、労働者の希望と、記録を出力して書面を作成できることなどの要件を確認してください。参考:厚生労働省の労働条件明示に関するQ&A
海外に本店がある企業や日本語でのやり取りが難しい場合は、申込み前に対象条件を確認してください。料金・条件・サービス内容は変更される可能性があるため、申込み前に公式サイトで最新情報をご確認ください
4.必要に応じて在留資格の手続きを行う
現在の在留資格で予定する仕事ができない場合は、原則として就労開始前に在留資格変更許可申請が必要です。
海外在住者を採用する場合は、一般的に在留資格認定証明書交付申請を行い、その後に査証取得と入国手続きを進めます。転職者については、活動内容が現在の在留資格に含まれるかを確認し、必要に応じて就労資格証明書の活用も検討します。
5.社会保険・労働保険の手続きを行う
健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険などは、国籍ではなく加入要件に基づいて判断します。外国人従業員にも、日本人従業員と同じ基準で適用します。
6.外国人雇用状況をハローワークへ届け出る
外国人を雇い入れたときと離職したときは、原則として外国人雇用状況の届出が必要です。在留資格が「外交」「公用」の方と特別永住者は対象外です。
雇用保険の被保険者となる場合は、雇用保険の資格取得届・資格喪失届を通じて届け出ます。雇用保険の被保険者とならない場合は、所定の外国人雇用状況届出書を提出します。
3.在留資格ごとに異なる雇用上の注意点
技術・人文知識・国際業務
企業で働く外国人に多い在留資格ですが、どの仕事でもできるわけではありません。本人の学歴・職歴と業務内容の関連性、報酬水準、会社の安定性などが審査の対象になります。
留学・家族滞在
資格外活動許可を確認し、許可された範囲と時間内で雇用します。長期休業中の取扱いや、複数の勤務先がある場合の合計時間にも注意してください。
永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者
一般に就労活動の制限はありません。ただし、在留カードの有効期限や本人確認、外国人雇用状況の届出など、必要な確認・手続きは残ります。
特定技能
受入れ機関には、通常の雇用管理に加えて、支援計画や届出などの義務があります。対象分野、業務区分、支援体制を確認し、制度に沿って受け入れる必要があります。
4.外国人雇用状況の届出期限
雇用保険の被保険者となる外国人を雇い入れた場合、資格取得届の期限は原則として雇入れ日の属する月の翌月10日までです。離職時は、資格喪失届の提出期限に従います。
雇用保険の被保険者とならない外国人については、雇入れ・離職ともに原則として翌月末日までに届け出ます。
届出を怠った場合や虚偽の届出をした場合は、罰金の対象になることがあります。担当者と提出状況を記録し、入社・退社手続きのチェックリストへ組み込んでおくと安心です。
5.外国人雇用で起こりやすい失敗
在留資格名だけで就労可能と判断する
重要なのは、在留資格名ではなく、採用後に担当させる具体的な業務です。配属変更や職種変更があったときも、就労範囲を再確認してください。
在留期限の管理を本人だけに任せる
更新申請は本人が行う場合でも、企業側が在留期限を把握していないと、期限切れを見落とすおそれがあります。更新時期を管理し、新しい在留カードを確認する社内ルールを決めておきましょう。
採用後に在留資格変更の必要性へ気づく
在留資格変更が許可される前に対象外の仕事を始めると問題になる可能性があります。内定前または雇用契約の条件を確定する前に、変更申請の要否を確認することが大切です。
届出と入管手続きを混同する
ハローワークへの外国人雇用状況の届出と、出入国在留管理局への在留資格手続きは別の制度です。一方を提出しても、もう一方が自動的に完了するわけではありません。
6.長く働いてもらうために企業ができること
外国人従業員の定着には、採用手続きだけでなく、入社後の情報提供と職場づくりが重要です。
・雇用条件や社内規則を理解できる言葉で説明する
・相談担当者を決め、質問しやすい環境をつくる
・日本の社会保険、税金、休暇制度を説明する
・宗教、食事、生活習慣の違いへ合理的に配慮する
・評価基準とキャリアパスを明確にする
外国人従業員だけを特別扱いするのではなく、必要な情報へ公平にアクセスできる仕組みを整えることが、離職防止にもつながります。
外国人採用をさらに学べる参考書
外国人採用の社内体制や現場での説明方法をより具体的に学びたい場合は、実務書も参考になります。制度や手続きは、必ず最新の公的情報と照らし合わせて確認してください。
7.在留資格の判断や申請に迷ったら
外国人雇用では、本人の学歴・職歴、担当業務、会社の事業内容によって必要な手続きが変わります。特に、転職者の採用、職種変更、海外からの招へいでは、採用スケジュールへ在留資格手続きの期間を組み込むことが重要です。
ミツノブ行政書士事務所では、外国人従業員の在留資格変更、在留期間更新、就労資格証明書、海外人材の招へいに関するご相談を承っています。
「この仕事内容で採用できるか」「入社前に変更申請が必要か」など、判断に迷う場合はお気軽にお問い合わせください。
よくある質問
Q.在留カードがあれば、すぐに働いてもらえますか?
A.在留カードを持っていても、在留資格によって就労できる範囲は異なります。就労制限、資格外活動許可、予定する業務内容を確認してください。
Q.外国人をアルバイトで雇う場合も届出が必要ですか?
A.原則として必要です。雇用保険に加入しない短時間労働者についても、対象者であれば所定の期限までに外国人雇用状況を届け出ます。
Q.転職者なら在留資格変更は不要ですか?
A.同じ在留資格でも、新しい会社で担当する業務が許可範囲に含まれるか確認が必要です。業務内容が変わる場合は、在留資格変更や就労資格証明書を検討します。
Q.在留期間の更新は会社が行うのですか?
A.申請人は原則として外国人本人ですが、会社が用意する資料が必要になることがあります。企業側でも期限を管理し、余裕を持って準備してください。
参考情報
執筆・監修
ミツノブ行政書士事務所
行政書士・宅地建物取引士 松田充正
本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の在留資格、許可の可否、審査結果を保証するものではありません。



